環境

動物個体の権利・福祉を目的とする団体と、生態系や生物群集・個体群の保全を目的とする自然保護や環境保全の活動は似て非なるところがあり
むしろ主張や方針が対立することもある。前者は個々の動物の生存・権利・福祉を最重要視するあまり、生態系全体を省みることがない場合である。

生態系や生物群集・個体群の保全には、個体の生存・権利・福祉をある程度犠牲にしなければ成り立たないことがあり
生態系維持のためには、生態系を撹乱する外来種(ブラックバス等)や異常増加した野生鳥獣(シカ等)を防除せねばならないが、中にはこの外来種個体の保護を訴える団体も無くはない。

例えば奄美大島にハブ駆除のために放されたジャワマングースはアマミノクロウサギをはじめとする固有種の個体群の脅威であり絶滅の縁に追いやっているため
駆除事業が展開されているが、動物愛護団体にはジャワマングースの個体の生存権を主張し、駆除事業の中止を求める団体もある。自然保護、環境保全の立場においては奄美大島の生態系に適合しないジャワマングースの存在がアマミノクロウサギなどの固有種の存続を脅かすことを回避すべき問題点とし、そのためにはジャワマングースの個体の命を断つことによる排除はやむをえないと判断することが多いのに対して
しばしば動物愛護の立場においては人間が恣意的直接行動によりジャワマングースという動物個体の生命を脅かす行為を止めるべき悪とみなす考えが存在するためである